占いなんていらない。
私は長年そう思っていました。
占いなんて、非科学的でばかげてる、と。
しかし、本当に占いは「科学的に」いらないのでしょうか。
私のようにスピリチュアルなものを一切信じない方へ向け、占いへ行くメリットを書きたいと思います。
誰にも相談できず追い詰められていたあの日
25歳。私には悩みがありました。
転職するか、しないかです。
私は新卒で業界のトップ企業に入社。100%運のおかげで大きなプロジェクトへ最初から配属され、履歴書的に見栄えのいい成果を出せました。しかし同時に、あまりのハードワークには限界を感じていました。
「このままじゃ心か体が30歳で壊れるだろうなあ……」
そう考えて転職活動を開始。見栄えのいい成果のおかげで、別業界から内定をいただきました。
けれど当時の私は、新卒の会社へ入ってわずか2年。
今辞めてしまえば、いわゆる「新卒は3年やれ」セオリーを無視することになります。
新卒の会社は労働時間こそ長かったものの、裁量権も信じられないくらい大きかった。
いい上司にも恵まれ、売上も好調。
冷静に考えて「なんで辞めるの?」という時期でもありました。
しかし当然ながら転職を自社の上司へ相談することもできず……。
思い悩んでから、最初に考えたのはキャリアカウンセラーへの相談でした。
しかし予約電話の時点で、キャリアカウンセラーからまさかの“相談拒否”を食らいます。
カウンセラーさんは「職場でウツになった」「会社のエレベーターに乗るだけで吐き気がする」など重症の顧客を多く抱えていて、私のフラっとした悩みを受ける余裕がなかったのです。
占い師は、数千の統計データを持っている
そこでふと目に入ったのが、占いのお店。
前に会社の先輩が恋愛運を占うため、同伴したお店でした。
「いやあ……でもなあ……入るのもヤなんだよなあ……」
と、入店前の私は思っていました。
こういうところに入る時点で、もう負けなんじゃないかと。
けれど、占いショップの前で何十分も考え込んでいる女の方が100倍怖いわ。
そこでえいや、っと入店したのです。
おそらく運がよかったのでしょう。
私を担当した占い師さんは恐ろしくロジカルでした。
「あなたのような転職相談は何百件もこれまでに診ています。
その経験から判断すると、おそらく占うまでもなく転職した方がいいですよ」
占いすらしてもらう前に結論をズバっと語られてしまったのです。
「え、占いの前にですか?」
「ええ、だってあなたは占いを信じるタイプじゃなさそうですから」
「それってコールドリーディング(相手の外見やしぐさから分析して当たりそうなことを話す技術)ですか?」
「そうです」
って、認めちゃうんかい!!!!
占い師がスピリチュアル便りのフワフワした人ばかりだと思っていた私。
椅子からずり落ちそうになりました。
占い師の先生は語ります。
「占いはもちろん、霊的なものもあります。けれど同時に、相談を何百件、何全件も受けることで統計的に信頼できるくらいの人数からお話をうかがう仕事でもあるんですね。
ですから、占う前から『きっとこういう結果が出るんだろうな』と予想はつくんですよ。それをコールドリーディングとおっしゃるなら、そうでしょう」
そうか。
占い師さんは、1日に5人以上から相談を受けることもザラにあります。
土日を抜いても年に約5人×120日=600人以上のお話を聞いているわけです。
たとえば占い師を10年やっていたら、半数がリピーターでも3,000人の話を聞いている!
そりゃ、「占う前から結果が見える」わけですよ。
占いに依存しない、占いをバカにしない
占いは、統計データとして信頼できるくらいの相談実績。
そう理解してから、私はちょくちょく占いを活用するようになりました。
もちろん当たらないこともあります。
なぜなら統計データは、過去の傾向でしかないからです。
けれど同じような相談を大量に受けてきたプロからマンツーマンで与えてもらえるアドバイスが、30分数千円なんて安い方。
占いに依存しすぎて、いざという場面で外れたら取り返しもつかないでしょう。
けれどこれほど大量に相談を受けているプロ集団は、カウンセラーにだってそういません。
統計だけでなく、人は誰かに話を聞いてもらうだけでも自分を客観視できるメリットがあります。
「秘密を守ってくれる第三者へ話す、相談する」ことはそれだけでもストレスを減らせるのです。
占いに依存せず、さりとて占いをバカにせず。
「科学」を信頼しているからこそ、占いも科学の一分野として尊敬しています。
text/トイアンナ
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